リーマン・コロナで年収数千万円カット。シンガポール政治家の「業績連動給与」がガチすぎる話

「景気が悪いなら、政治家の給料も下げてよ」

日本で不景気や増税のニュースが流れるたび、こんな声が聞こえてきます。しかし、これを「仕組み」として完全に自動化し、過去の経済危機で本当に政治家の年収を数千万円規模で激減させた国があります。

それがシンガポールです。

今回は、シンガポール政府の公式データや現地報道の「生の文章」を直接引用しながら、彼らの容赦ない成果主義のリアルと、日本との決定的な違いを解説します。

1. リーマンショック:一瞬で「年収22%(約4,000万円)」が消えた日

シンガポール政府(首相官邸直属の人事庁:PSD)は、景気が悪化してマイナス成長に陥ると、閣僚たちの業績連動ボーナスを文字通り「ゼロ」にします。

その仕組みが牙を剥いたのが、2008〜2009年のリーマンショック時でした。当時のシンガポール政府の公式プレスリリースには、生々しい減給の記録がこう記されています。

2009年、世界金融危機による激しい景気後退に直面した際、閣僚の給与は数式に従って自動的に22%削減された

Public Service Division (PSD) – 2009 Year-End Payment Press Release (PDF)

当時の閣僚の年収は約1.9億円。国の経済目標を達成できなかったという理由だけで、一瞬にして約4,000万円もの大金が自動的にカットされたのです。もともとの年収の高さも驚きを隠せませんが、実力主義・結果主義であることが分かります。

ちなみに他の記事でも書きましたが、給料が高いのは汚職を防ぐために意図的に設定しています。

2. コロナ禍:「ボーナスゼロ」+「追加の3ヶ月分返上」

記憶に新しい2020年のコロナショックでも、このシステムは一切ブレませんでした。

パンデミックによる大打撃を受けた際、現地の大手メディア『Channel News Asia (CNA)』は、経済悪化に伴うボーナスカットに加え、国民の痛みに寄り添うために追加の「身を切る改革」を断行したニュースを報じています。

「コロナ禍がもたらした経済危機を鑑み、政府は今年の公務員への期中ボーナス(AVC)を不支給とすることを決定した。さらに、悪化する情勢を踏まえ、首相や閣僚などの政治職は、前月に発表した1ヶ月分の給与カットに加え、さらに2ヶ月分(計3ヶ月分)の給与カットを行う」

Channel News Asia (CNA) – Covid-19: President, ministers and other political office holders to take pay cut

3. 日本の政治家との「3つの決定的な違い」

日本の政治家(国会議員や閣僚)の給与事情と比較すると、その構造的な違いが浮き彫りになります。

① 不景気時の減給ルール

  • 日本の政治家・閣僚: 基本的には法律で身分と給与が守られており、額面は「固定」です。批判を浴びて自主返上することはあっても、明確な引き下げ基準はありません。
  • シンガポールの閣僚: 経済指標が未達成なら、ルールに基づいて自動的かつ強制的に数千万円単位でカットされます。

② 給与を決定する「評価基準」

  • 日本の政治家・閣僚: 民間企業の平均給与などを参考に決まるため、国全体の経済成果と個人の給与額が直接リンクしていません。
  • シンガポールの閣僚: リアルGDP成長率、国民の所得中央値の伸び率、失業率など明確な数値目標(KPI)で査定されます。

③ 給与に対する「根本的な思想」

  • 日本の政治家・閣僚: 「公務員は滅私奉公すべき」という国民感情が強く、優秀な人材であっても給与は抑えられがちです。
  • シンガポールの閣僚: 「優秀な人材には民間トップ並みの超高給を払う。ただし、結果が出なければ容赦なく削る」という外資系CEOスタイルです。

日本の政治家もコロナ禍に「歳費2割カット」などを実施しましたが、これはあくまで「特例の法律」をその都度作って対応したものです。

一方のシンガポールは、最初から「国が不作なら、取締役(政治家)の報酬が真っ先に削られる」というシステムが最初から組み込まれているのが最大の違いです。

💡 まとめ:国を一つの「巨大企業」と見なす

シンガポールの政治家には、日本の政治家とは一線を画す「数値化されたKPI(重要業績評価指標)」が存在します。民間企業において、KPIの達成が報酬に直結するのはごく当然の論理です。成果を出せば正当な対価が支払われる。この極めてシンプルな原則が、彼らの政治運営の根幹にあります。

一方、日本の政治家はどうでしょうか。選挙前の公約を守らないどころか、公約とは真逆の政策を平然と推し進める事態さえ日常茶飯事です。国を動かすリーダーに対して、私たちはもっと厳しい「成果責任」を求めるべきではないでしょうか。日本も今こそ、シンガポールの合理的な政治システムを見習うべきです。

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