「IT職は理系じゃないと無理?」
「内向的な人の方がエンジニアに向いている?」
IT職と性格については、さまざまなイメージがあります。
ただし、性格だけで向いている仕事が決まるわけではありません。 この記事では心理学研究と職業データを参考にしながら、 IT職と性格の関係を少し科学的に考えてみます。
「この性格ならこの仕事」とは言い切れない
まず最初に知っておきたいこと。
心理学では、性格と仕事の成果との関係について長年研究が行われています。 その中でよく使われるのが Big Five(ビッグファイブ)と呼ばれる性格モデルです。
50以上のメタ分析を統合した研究でも、 Big Fiveの各特性とパフォーマンスには関連が確認されています。 一方で、その関連の強さは仕事内容や評価するパフォーマンスによって変わります。 ⓘ データ元
また、「本人と仕事がどれくらい合っているか」を考える Person–Job Fitの研究もあります。 つまり重要なのは、単純に性格を良い・悪いで判断することではなく、 その人の特徴と仕事内容・環境が合っているかです。 ⓘ データ元
「この性格だから、この職種に向いている」と断定するのではなく、 各職種で求められやすい仕事の進め方と、 自分の性格・好みが合いそうかを見るための参考として考えます。
性格を見るなら「Big Five」から考える
5つの軸で性格傾向を見る考え方です。
新しいものへの興味、好奇心、 新しい考え方を受け入れる傾向。
計画性、責任感、整理して物事を進める傾向。
人との交流や活動からエネルギーを得やすい傾向。
他者への配慮、協力、 人間関係を調和させようとする傾向。
不安やストレスなど、 ネガティブな感情を経験しやすい傾向。
ここで重要なのは、 どの特性にも高い・低いの両方にメリットがあり得ることです。 「外向的=良い」「内向的=悪い」のようなランキングではありません。
インフラエンジニアに合いやすい仕事の進め方
安定して動かすことを支える仕事。
慎重さ・責任感・細部への注意
サーバーやシステム基盤を扱う仕事では、 「とりあえず変更してみる」よりも、 影響範囲を考えて慎重に進める場面が多くあります。
米国労働省O*NETの Network and Computer Systems Administratorsでは、 Work Stylesとして 知的好奇心、慎重さ、誠実さ、細部への注意、信頼性 などが挙げられています。 ⓘ データ元
ネットワークエンジニアに合いやすい仕事の進め方
「なぜ通信できない?」を切り分ける仕事。
論理的に切り分けることを楽しめる
ネットワーク障害では、 IP、ルーティング、DNS、Firewall、VPNなど、 複数の可能性をひとつずつ確認して原因を探していきます。
「分からないから嫌だ」ではなく、 原因が分からない状態から仮説を立てて調べることが苦にならない 人とは相性がいいでしょう。 ⓘ データ元
クラウドエンジニアに合いやすい仕事の進め方
変化を追いながら、仕組みを組み合わせる。
新しい技術を学び続けることが苦にならない
クラウドでは新しいサービスや機能を学びながら、 ネットワーク、サーバー、セキュリティ、IaCなど 複数の技術を組み合わせます。
そのため、 新しい技術を試したい好奇心と、 本番環境では慎重に設計する姿勢の両方があると強みになります。 ⓘ データ元
※O*NETには日本で一般的に呼ばれる「クラウドエンジニア」と完全に一致する単一職種がないため、 近接するIT職種を参考にしています。
セキュリティエンジニアに合いやすい仕事の進め方
「何が起きるか」を先回りして考える。
疑問を持ち、深く調べる
セキュリティでは、 「普通なら大丈夫」だけではなく、 もし攻撃されたらどうなるかを考える必要があります。
O*NETのInformation Security Analystsでは、 Critical Thinking、Complex Problem Solving、 Judgment and Decision Makingなどが重要なスキルとして挙げられています。 ⓘ データ元
開発エンジニアに合いやすい仕事の進め方
考えたものを、実際に形にする。
細部を見る力と、作ることへの好奇心
Software DevelopersのO*NETデータでは、 Work Stylesとして Attention to Detail、Innovation、Dependability、 Intellectual Curiosityなどが上位に挙げられています。 ⓘ データ元
細かいバグを追える一方で、 「もっと良い作り方はないか」と考えられることも 開発では強みになりそうです。
AI・データ職に合いやすい仕事の進め方
数字の中から「なぜ」を探す。
好奇心と、細かく検証する姿勢
O*NETのData Scientistsでは、 Work Stylesとして Attention to DetailとIntellectual Curiosity が特に高く、 InnovationやDependabilityも挙げられています。 ⓘ データ元
データを見て終わるのではなく、 「なぜこの結果になったのか」 「別の説明はないか」と深掘りすることが好きな人には 面白い領域でしょう。
内向的ならIT職に向いている?
「エンジニア=一人で黙々」は少し単純すぎます。
IT職には、一人で集中して考える時間が多い仕事があります。 その意味では、一人で作業することを苦にしない人が 働きやすい場面はあります。
しかし実際のIT現場では、 顧客、ユーザー、他部署、ベンダー、チームメンバーなどとの コミュニケーションも多く発生します。
例えばInformation Security AnalystsのO*NETでも、 Active Listening、Speaking、Writing、Coordinationなど 対人コミュニケーションに関わるスキルが含まれています。 ⓘ データ元
「人と話さない仕事を探す」よりも、 一人で考える時間と、人と関わる時間のバランスが 自分に合っている仕事を探す方が現実的です。
では、恋愛ではどんなタイプと相性がいい?
ここからは少し仕事を離れて考えてみます。
「性格が似ているカップルほど長続きする」と 思う人もいるかもしれません。
しかし、1,294組のカップルを分析した研究では、 パートナー同士の性格が似ていること自体は、 関係満足度を説明するうえで大きな役割を持たない という結果が報告されています。 ⓘ データ元
さらに、43の縦断研究・11,000組を超えるカップルのデータを 機械学習で分析した研究では、 性格だけではなく、 関係へのコミットメント、相手から評価されている感覚、 満足度、葛藤などの関係そのものに関する要因が 関係の質を予測するうえで重要でした。 ⓘ データ元
職種や性格タイプだけで相手との相性を決めるより、 お互いの生活スタイルやコミュニケーション、 相手への配慮を考える方が現実的です。
ITエンジニアとの恋愛相性をもう少し詳しく見る
一人の時間、仕事の忙しさ、趣味やコミュニケーションなど、 ITエンジニアとの相性を恋愛の視点から詳しく見てみましょう。
ITエンジニアと相性がいいタイプを見る →IT職と恋愛の相性を考えるなら
職種ではなく「仕事の特徴」から考える。
現時点では、 「ネットワークエンジニアには○○な性格の恋人が最適」 と直接示す科学的研究はありません。
そこで、ここからは科学的な断定ではなく、 仕事の特徴から考えた実生活上の相性として見てみます。
障害対応やメンテナンスなど、 状況によって予定が変わる仕事では、 お互いに予定変更を相談しやすい関係が重要です。
調査や学習に集中する時間が多いなら、 常に一緒にいることだけを重視しない関係の方が 居心地がいい場合があります。
プログラミングや個人開発など、 仕事以外でも何かを作ることが好きな人なら、 お互いの一人時間を尊重できる関係も選択肢です。
新しいことを知るのが好きなら、 同じ趣味でなくても、 お互いの興味を面白がれる関係は続けやすいでしょう。
※この4分類は研究による「職種別恋愛相性ランキング」ではありません。 職務特性から考えた編集上の整理です。
あなたはどのIT職タイプ?
最後に簡単に方向性を考えてみましょう。
※これは心理検査ではなく、 興味の方向を整理するための簡易チェックです。
性格は「向いている・向いていない」を決めるものではない
IT職といっても、インフラ、クラウド、セキュリティ、 開発、AI・データでは仕事の進め方が違います。
性格診断で職業を決めるのではなく、 「自分はどんな問題を解くのが好きか」 「どんな環境なら長く働けそうか」 という視点からキャリアを考えてみてください。

